沖縄「人類館事件」と「土人」発言事件
- 先日、朝日新聞は、”米、19年に北朝鮮上陸失敗 NYT報道 非武装の数人殺害”と題する驚くべき記事を掲載しました。明らかな犯罪であり、国際法違反なのに、朝日新聞は、何の非難も批判もしていません。
でも、これがもし中国やロシアが日本や台湾に対してしたことであれば、世界中が大騒ぎなるような報道がなされたのではないかと思います。
それが、欧米が主導する国際社会の実態なのだと思います。
ただ、この記事のなかで、”このミッションはドナルド・トランプ大統領の一期目中に行われ、大統領の直接の承認が必要で、米朝間のハイレベル核交渉の最中に行われた。”という部分は、疑わしいと思います。私は、バイデン政権の時ではないかと想像します。
アメリカにも、朝日新聞と同じような記事がありました。
”New York Times: Unsuccessful 2019 Navy SEAL mission left unarmed North Koreans dead
A 2019 mission in North Korea, which intended to have Navy SEALs plant an electronic device to intercept communications of the country’s leader Kim Jong Un, resulted in an unsuccessful operation that left unarmed North Koreans dead, according to a report from the New York Times on Friday.
The mission, which took place during President Donald Trump’s first term, required the president’s direct approval, the Times reports, and came amid high-level nuclear talks between the US and North Korea.
The White House and Pentagon declined to comment. CNN has also reached out to the US Special Operations Command and North Korea’s permanent mission to the United Nations in New York for comment on the report.”
”ニューヨーク・タイムズ:2019年ネイビーシールズの任務失敗、非武装の北朝鮮人が死亡した
金曜日のニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、2019年の北朝鮮での任務は、ネイビーシールズに同国の指導者金正恩氏の通信を傍受するための電子装置を設置させる予定だったが、非武装の北朝鮮人が死亡するという作戦は失敗に終わった。
タイムズ紙の報道によると、このミッションはドナルド・トランプ大統領の一期目中に行われ、大統領の直接の承認が必要で、米朝間のハイレベル核交渉の最中に行われた。
ホワイトハウスと国防総省はコメントを控えた。CNNはまた、この報告書についてコメントを求めた米国特殊作戦司令部とニューヨークの北朝鮮国連常駐代表部にも連絡を取った。”(機械翻訳)
さまざまな策略によって明治維新を成し遂げた薩長を中心とする明治政府は、領土の拡大をその中心政策としていたと思います。
以前にもとりあげましたが、日本では、「皇大御国(スメラオオミクニ)は大地の最初に成(ナ)れる国にして世界万国の根本なり。故に能く根本を経緯するときは、則ち全世界悉く郡県と為すべく、万国の君長皆臣僕と為すべし」(佐藤信淵「宇内混同秘策」)というような人が、幕末に活躍したのです。同書には、
”凡そ他邦を経略するの法は、弱くして取り易き處より始るを道とす。今に当て世界万国の中に於て、皇国よりして攻取り易き土地は、支那国の満州より取り易きはなし。”
とか、
”支那既に版図に入るの上は、その他西域、暹羅(シャム)、印度亜(インデイア)の国、佚漓鴃舌(シュリゲキゼツ)、衣冠詭異(イカンキイ)の徒、漸々に徳を慕ひ威を畏れ、稽顙匍匐(ケイソウホフク)して臣僕に隷(レイ)せざることを得ん哉。故に皇国より世界万国を混同することは難事に非ざるなり。”
とか、
”大泊府の兵は琉球よりして台湾を取り、直に浙江の地方に至り、台州(タイシュウ)寧波等の諸州を経略すべし。”
という記述もあるのです。
大政奉還の40年以上も前に、来たるべき統一国家としての日本の姿を想定し、日本の領土的拡張を志向する考え方をしていたのです。そして、戦時中に、彼の著書『宇内混同秘策』が多くの人に読まれていたということは、忘れてはならないことだと思います。
また、明治維新を主導したといえる吉田松陰も、
「幽囚録」の「自序」に”皇国は四方に君臨し、天日の嗣の永く天壌と極りなきもの…”などと書いており、佐藤信淵同様、神道に立脚し、日本中心の考え方をしていることを見逃すことができません。外国と対等の関係を追求しようとはしていないのです。特に、領土について
”蝦夷を開墾して諸侯を封建し、間(スキ)に乗じて加摸察加(カムチャッカ)・隩都加(オホーツク)を奪ひ、琉球に諭し、朝覲(チョウキン)会同すること内諸侯と比(ヒト)しからしめ、朝鮮を責めて質を納(イ)れ貢を奉ること古の盛時の如くなら占め、北は満州の地を割(サ)き、南は台湾・呂栄(ルソン)の諸島を収め、漸に進取の勢いを示すべし”
などと書いているのです。
だから、尖閣諸島が何の国際的手続きもなく、日本のものとなり、琉球処分で琉球が日本に併合されても、当然だったのだろうと思います。
人類館事件には、そうした思想的背景もあるのだと思います。そして、今なお、そうした差別的な思想が、日本の権力に受け継がれているということを忘れてはならないと思うのです。
下記は、「沖縄について私たちが知っておきたいこと」高橋哲哉(ちくまプリマー新書)から「土人」発言事件の部分を抜粋しました。
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第一章 沖縄の歴史
二 人類館事件
「土人」発言事件
沖縄の人たちは今でも、日本本土の人を「ヤマトゥンチュ」(マタトゥの人)と呼び、自分たちを「ウチナーンチュ」(ウチナーの人)と呼びます。本書ではここからヤマトゥンチュの意味で日本人、ウチナーンチュの意味で「沖縄人」ということにします。この場合、日本人は沖縄人を含む日本国民と区別されることになります。
人類館事件はその後、日本人の沖縄人に対する差別を象徴する歴史的事件として記録されていきます。1976年には知念正真作の戯曲『人類館』が沖縄の演劇集団「創造」によって上演され、事件か100周年の2003年には事件の地元、大阪でも上演されました。
最近では2016年の秋、事件の記憶がまた呼び覚まされました。沖縄島の米軍北部訓練場の半分程度が返還される代わりにヘリパッドを六つ建設する計画に対して、地元の東村高江では反対運動が起きていました。工事に進展にともない反対運動が激しくなると、本土から機動隊が派遣され、道路や出入り口に座り込んで抗議する人々を排除するようになります。そのなかで大阪府警から派遣された機動隊員の一人が抵抗する人々を「土人」呼ばわりしたのです。別の機動隊員は「黙れ、支那人」とも叫びました。「支那人」という日本語は、中国人を見下す意味で使われた言葉です。つまりこの場合、日本人の機動隊員は、反対する沖縄人を「土人」や「支那人」という差別的な意味を込めた言葉で罵倒したのです。
人類館事件のことを知っているとは思えない現代日本の若い機動隊員が、まるで当時の差別的意識そのままに、沖縄の人々を「土人」「支那人」と呼んで攻撃した事実。沖縄では当然、抗議の声が上がりました。基地反対運動への抑圧の背景には、やはり本土の沖縄に対する差別があるのではないか。機動隊員の「どしん」発言事件は現代の人類館事件ではないかといって、歴史の記憶が呼び戻されることになったのです。
これに対して、当時の安倍政権の対応はどうだったでしょうか? 沖縄北方担当大臣であった鶴保庸介氏は参議院内閣委員会で、「人権問題であるかどうかの問題で、一方的に決めつけるのは非常に危険だ。言論の自由はどなたにもある」と発言。「差別用語とされるものでも過去には流布していたものもたくさんある」、「私個人が大臣という立場でこれが差別であるというふうに断じることは到底できない」などと、「土人」発言を擁護するような答弁をしました。これには批判が噴出しましたが、安倍内閣は「土人には土着の人、未開の土着人などの意味があり、一義的に述べることは困難」として、鶴保大臣の発言撤回や謝罪の必要はないとの閣議決定をします。結果として「土人」発言を政府自身が容認し、肯定しているのではないかと疑われることになったのです。
本土における沖縄人差別は、沖縄出身者が比較的多い関西でより強く、戦前には「朝鮮人、リキ人(琉球人の意)お断り」などといった看板を出す工場などもあったと言われます。戦後も2000年代に入ると「沖縄ブーム」が起こり、観光地としての人気や沖縄出身芸能人の活躍などで「沖縄好き」を自任する人が増えて、さすがに差別や偏見は影をひそめたと思われていました。それだけに「土人」発言事件はいっそう衝撃的だったのです。 米軍基地問題をめぐっては、基地に批判的な沖縄の動きに対して、いわゆる「沖縄ヘイト」的な攻撃や目立つようになったのも、この問題の根深さを示しています。
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